2011年9月13日火曜日

健康に対する破局的評価と健康不安の関係を不確実さ不耐性が調整する

【目的】
健康不安の認知行動モデルでは,身体症状等の破局的評価(e.g., 重篤な病気にかかっているに違いない!)が健康不安の中核的な維持要因と考えられている。また,認知行動モデルでは,不確実さ不耐性も健康不安の維持プロセスの一端を担っていることが指摘されている。しかし,これまでの先行研究では,不確実さ不耐性と健康不安の関連は単相関で示されているのみで,不確実さ不耐性が維持プロセスにおいてどのような役割を果たしているのか不明瞭。恐らく,理論的には不確実さ不耐性は,破局的評価と健康不安の関係を調整するはず。そこで,破局的評価と不確実さ不耐性と健康不安の3者の関係を検討。

【方法】
調査協力者:大学生428名(女性63.8%,平均年齢19.4歳)
※調査時点で身体疾患があるものは分析から除外

測定指標:
①SOS(身体感覚の破局的評価)
②IUS(不確実さ不耐性)
③SHAI(健康不安)

【結果】
身体症状に対する破局的評価(r=.15)と不確実さ不耐性(r=.59)は健康不安を有意に予測 (p<.01)
身体症状に対する破局的評価と不確実さ不耐性の交互作用項は健康不安を有意に予測 (ΔR2乗=.01, p<.05)
不確実さ不耐性が高いと健康不安が高い
不確実さ不耐性が高く,破局的評価が高いと健康不安がさらに高い
破局的評価が高くても,不確実さ不耐性が低いと健康不安は高くない

不確実さ不耐性の下位尺度ごとに検討すると,不確実さによって全てがだめになるという信念を反映する因子のみ,破局的評価と有意な交互作用あり(p<.05)
交互作用のパターンも不確実さ不耐性の合計得点で検討した時と同様のパターン。

※不確実さ不耐性は身体症状に対する破局的評価と健康不安の関係を調整する変数。この調整効果は,不確実さ不耐性の中でも,不確実さによってすべてが台無しになるという強い考えに由来する。



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