2011年5月18日水曜日

反芻と抑うつの関係はエフォートフルコントロールが調整

Temperament and Risk for Depressive Symptoms in Adolescence: Mediation by Rumination and Moderation
by Effortful Control.
Verstraeten, K. & Vasey, M. W., Raes, F. & Bijttebier, P. (2009).
Journal of abnormal Child Psychology, 37, 349-361.

【目的】
青年期の抑うつ症状における快・不快情動性と反芻傾向の役割を検討
仮説:
①不快情動性が高く,快情動性が低く,エフォートフルコントロールが低い
②快・不快情動傾向と抑うつ症状の関係をエフォートフルコントロールが調整する
③反芻は抑うつ症状と関連
④反芻は,不快情動性と抑うつ症状の関係を媒介する
⑤④の媒介関係はエフォートフルコントロールが調整する

横断,縦断の双方で検討

【方法】
調査協力者
time1:304名の7~10th gradeの青年(日本だと小6~高1くらい)
    (女性=179, 平均年齢14.26±1.23)
time2:time1の協力者のうち249名
   
測定指標
①PANAS:快(PA)・不快情動性(NA)を測定
②ECS:エフォートフルコントロール(EC)を測定
③BDI-II:抑うつ症状(Dep)を測定
④CRSQ:反芻傾向(rumination)を測定

※縦断的検討のためDepだけ1ヶ月後にも測定

【結果】

横断調査

Time1で抑うつ症状,反芻傾向に性差あり
(症状:t=2.13, p<0.05,反芻:t=2.26, p<0.05)
Time2ではなし

T1の抑うつ症状について階層的回帰
step1:性別,年齢,PA,NA,EC
step2:NA×EC,PA×EC,PA×NA
step3:PA×性別,NA×性別,EC×性別
step4:PA×NA×EC,NA×EC×性別,PA×EC×性別
step5: 性別×年齢

step4までΔR2が有意
性別,年齢,NA, PA, EC, NA×ECが抑うつ症状を有意に予測
(βs=-.15, .09, -.12, .35, -.26, -.16)

NA×性別×ECの交互作用有意(β=.12, p<.05)
男の子のみ、NAと抑うつ症状の関係をECが調整
→NA高くてもEC高いとdep低

PA×性別×ECの交互作用有意(β=-.15, p<.05)
女の子のみ,PAと抑うつ症状の関係をECが調整
→PAが低くても,ECが高いとdep低

縦断調査
T2の抑うつ症状について階層的回帰
step1:年齢,性別,T1の抑うつ症状,NA,PA,EC
step2:NA×EC,PA×EC,NA×PA
step3:PA×性別,NA×性別,EC×性別
step4:NA×PA×EC

step1のみR2の変化が有意
T1の抑うつ症状,PA,ECがT2の抑うつ症状を有意に予測
(βs=.34, -.16, -.12)
いずれの交互作用もT2の抑うつ症状を予測せず

反芻の媒介効果,ECの媒介調整効果
EC低だと,NAとT1抑うつの関係を反芻が有意に媒介
EC高だと,反芻の媒介効果消失

EC低だと,NAとT2抑うつ症状の関係を反芻が有意に媒介
EC高だと,反芻の媒介効果消失

※反芻に直接介入せず,エフォートフルコントロールを高めることで,反芻が抑うつ症状に与える影響は緩衝できる可能性あり。維持要因に対する直接的な介入ではなく,調整変数に対する介入という発想はあり。なぜなら,クライエンに合わせた介入方法の選択肢が広がる。
 

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