2011年5月19日木曜日

注意制御が高いと情動刺激による課題干渉が起きにくい

Effects of anxiety and attention control on processing pictorial and linguistic emotional information
Reinholdt-Dunne, M. L., Mogg, K., & Bradley, B. P. (2009).
Behaviour Research and Therapy, 47, 410-417.

【目的】
不安者の情動関連情報の選択的な処理におけるexectiveな注意のコントロールの役割を検討
仮説:特性不安が高く注意制御が低いと課題無関連情動刺激を無視できない

【方法】
実験協力者:大学生56名(女性45名,平均年齢=21歳)

測定指標:
①情動ストループ課題(表情版・単語版):課題無関連な情動刺激への反応を測定
 (情動刺激に注意をひかれるほど色命名反応は遅くなる)
②Attention Network Test (ANT):注意のexective control
③ACS:主観的な注意制御 (AC)
④STAI-T:特性不安

【結果】
情動ストループ課題の色命名反応 (表情版)
特性不安2 (高・低)×AC2 (高・低)×表情3(怒り・恐怖・喜び)の分散分析

1.特性不安の主効果有意 (F(1,51)=4.44, p<.05)
  →特性不安高は特性不安低に比べ,色命名反応が遅い

2.ACと表情の交互作用有意 (F(2,102)=4.90, p<.05)
  →低ACは高ACより,怒り表情に対する色命名反応が遅い
  →恐怖・喜び表情に対する反応はACの高低による差なし

3.特性不安とACの交互作用有意 (F(1,51)=7.48, p<.05)
  →AC高だと,特性不安の高低に関わらず色命名反応が遅延せず
  →AC低だと,特性不安が高い場合に色命名反応が遅い(全ての表情条件で)

情動ストループ課題の色命名反応 (単語版)
特性不安2 (高・低)×AC2 (高・低)×単語2(ネガ・ポジ)の分散分析

1.単語の主効果のみ有意 (F(1,51)=3.88, p<.05)
  →ネガ語に対する色命名反応が遅い

2.交互作用なし


特性不安とANTと色命名反応の相関

特性不安,特性不安とANTの交互作用項は
情動ストループ課題 (表情版)の色命名反応と有意な相関あり
(特性不安:r=.29, p<.05, 交互作用項:r=.40, p<.05)




※特性不安が高くても,注意制御を高めると課題無関連な情動刺激による干渉が起きにくくなる可能性を示唆





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