2011年4月13日水曜日

Transdiagnosticな脆弱性:不確実さ不耐性

Achieving certainty about the structure of intolerance of uncertainty
in a treatment-seeking sample with anxiety and depression

McEvoy, P. M., & Mahoney, A. E. J (2011). Journal of Anxiety Disorders, 25, 112–122.

【目的】
①不確実さ不耐性尺度(IUS)の因子構造の検討
②各不安障害症状と抑うつ症状に対する不確実さ不耐性の予測力の検討

【方法】
調査協力者:不安障害の治療を求める463名(平均年齢:35歳,SD=11.70, 女性55%)。うち,121名は半構造化面接およびCDCI-auto (コンピュータによる自己評価式の診断ツール)によって疾患の有無に関する情報取得 (Panic=52%, Social Anxiety=45%. Specific Phobia=28%, GAD=51%, OCD=20%, PTSD=6%, MDD=41%, Bipolar=4%, Dysthymic=11%)。解析には,463名のうち,多変量外れ値として20名を除いた443名のデータを使用。
        

調査材料:
①IUS:不確実さ不耐性
②IPQ:神経症傾向
③BSQ&ACQ:パニック症状
④SPS&SIAS:社交不安症状
⑤PI:強迫症状
⑥PSWQ:全般性不安症状
⑥BDI-II:抑うつ症状
⑦K10:非特異的な精神的苦痛
⑧WHOODAS:機能障害

【結果】
IUSの因子構造の検討
・確認的因子分析の結果,12項目2因子構造が最も妥当 (CFI=.96, NFI=.94, RMSEA=.071)
 因子1「prospective anxiety (PA)」
:将来の出来事に対する恐怖や不安
因子2「inhibitory anxiety (IA)」。
 :不確実さによる行動の抑制

各症状に対する予測力の検討
・階層的重回帰分析 (神経症傾向と他の不安・抑うつ症状の影響を統制)の結果,PAは,全般性不安症状 (β=.26, p<.001)と強迫症状(β=.12, p=.05)を有意に予測。 IAは,神経症傾向と他の不安・抑うつ症状の影響を統制しても,パニック症状 (β=.30, p<.05),社交不安症状 (β=.30, p<.001),抑うつ症状(β=.30, p<.001)を有意に予測。

全般的な苦痛と機能障害に対する予測力
・PAとIAは全般的な苦痛 と機能障害 を有意に予測せず。

不確実さ不耐性は,不安障害・気分障害の基盤的脆弱性である可能性を示唆。しかし,下位尺度ごとに関連する疾患が異なる。統合的治療において,不確実さ不耐性を扱う意義あり。


※OCDに症状に対する予測力が弱いのは,PIの合計点で検討しているためか (OCDの確認強迫と不確実さ不耐性の関連は複数の研究で報告されている)。








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