2011年4月13日水曜日

GADの階層モデル:神経症傾向の影響をメタ認知と不確実さ不耐性が媒介する

A hierarchical model for the relationships between general and specific
vulnerability factors and symptom levels of generalized anxiety disorder.

van der Heiden et al. (2010). Journal of Anxiety Disorder, 24, 284-289.

【目的】
神経症傾向と外向性が心配に対する肯定的な認知・否定的な認知・不確実さ不耐性を介して,全般性不安症状および抑うつ症状に与えるというモデルの検討

【方法】
調査協力者
-GADが主診断の患者137名 (平均年齢=35歳,女性101名)
-半数以上が他のI軸疾患を併発
-MDD (21.8%),PanicDisorder (13.6%),SAD (10.2%),
SomatoformDisorder(8.8%),OCD (4.1%),
Specific Phobia (2.7%),Insomnia (2.7%)
-II軸疾患に関する情報はなし

調査材料
①NEO-FFI:神経症傾向・外向性
②IUS:不確実さ不耐性
③MCQ:心配に対する肯定的・否定的な認知
④PSWQ:過剰な心配(全般性不安症状)
⑤BDI-II:抑うつ症状

【結果】
bootstrapp法による媒介分析
①全般性不安症状への効果
-3変数(調査材料①~③)での心配の分散説明率39.8%で有意
 (F (5,115)=15.18, p<.0001)
-神経症傾向を統制すると,外向性から心配への直接効果,間接効果はなし
-外向性を統制すると,神経症から心配への直接効果はなく,間接効果が有意
 (b=.29, SE=.05, bootstrapped 95%信頼区間 =.13 ~.45)
-心配に対する否定的な認知と不確実さ不耐性の間接効果が有意
 (否定的認知:b=.20, SE=.05, bootstrapped 95% 信頼区間=.11 ~.31)
 (不確実さ不耐性:b=.10, SE=.05, bootstrapped 95%信頼区間 =.01 ~.21)

②抑うつ症状への効果
-3変数(調査材料①~③)での心配の分散説明率44.8%で有意
 (F (5,115)=21.92, p<.0001)
-外向性を統制すると,神経症から心配への直接効果 ,間接効果の双方が有意
 (直接効果:b=.39, SE=.16, t=2.43, p<.05)
 (間接効果b=.49, SE=.11, bootstrapped 95%信頼区間 =.25~.67)
-神経症傾向を統制すると,外向性から心配への直接効果は有意,間接効果はなし
 (b=-.26, SE=.13, t=-2.52, p<.05)
-心配に対する否定的な認知と不確実さ不耐性の間接効果が有意
 (否定的認知:b=.25, SE=.08, bootstrapped 95%信頼区間 =.14~.47)
 (不確実さ不耐性:b=.16, SE=.09, bootstrapped 95%信頼区間 =.00 ~.35)

まとめると,
経路1. 神経症傾向と外向性は直接抑うつ症状に影響を与える
経路2. 神経症傾向は心配に対する否定的認知・不確実さ不耐性を介して,
     全般性不安症状・抑うつ症状に影響を与える

※GADの不確実さ不耐性モデルには,心配に対する肯定的な認知は要因として含まれているが,否定的な認知は含まれていない。しかし不確実さ不耐性モデルに基づくCBT中では,肯定的な認知への介入で,否定的な認知に対するアプローチも含まれている。不確実さ不耐性モデルに基づくCBTの効果がGADに対し高い効果を示すのはそのためなんだろうか。


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