2011年4月17日日曜日

児童・青年期のGAD症状に対する感情のコントロール感の予測力

Relations Among Perceived Control Over Anxiety-Related Events, Worry, and Generalized Anxiety Disorder in a Sample of Adolescents.
Frala, J. L., & Leen-Feldner, E. W., Blumenthal, H., & Barreto, C. C. (2010)
Journal of Abnormal Child Psychology, 38, 237-247.

【目的】
青年期の過剰な心配に対する感情の統制不能感の予測を検討
年齢・性別・不快情動性を統制しても予測できるか

【方法】
調査協力者:140名の青年 (年齢幅=10-17,平均年齢=14.6,女性60名)

調査材料
①PANAS:不快情動性
②ACQ-C-S:感情のコントロール感
③PSWQ-C:過剰な心配
④RCADS:不安障害・気分障害

【結果】
階層的重回帰分析
過剰な心配 (PSWQ)に対する予測力
step1:年齢,性別,不快情動性 (ΔR2=.34, p<.01)
(年齢: β=.19, p<.01, 性別: β=.18, p<.05, 不快情動性: β=.48,p<.01)
step2:感情のコントロール感(ΔR2=.10, p<.01, β=.33, p<.01)

GAD症状 (心配+身体症状)に対する予測力
step1:年齢,性別,不快情動性 (ΔR2=.35, p<.01)
(年齢: β=.09, p=n.s., 性別: β=.07, p=n.s 不快情動性: β=.56,p<.01)
step2:感情のコントロール感(ΔR2=.06, p<.01, β=.26, p<.01)

GADの診断の有無に対する予測力
step1:年齢,性別,不快情動性
(年齢: 95%CI=0.06-0.88, オッズ比=0.24, p<.05,
性別: 95%CI=1.04-1.97, オッズ比=1.43, p<.05,
不快情動性: 95%CI=1.03-1.14, オッズ比=1.09, p<.01)
step2:感情のコントロール感
(95%CI=0.76-0.96, オッズ比=0.85, p<.01)

※児童・青年期においても,感情のコントロール感は過剰な心配に独自の影響を持つ。ただ,この研究では成人の研究のように,不確実さ不耐性やメタ認知の影響が統制されていない。メタ認知は児童でも心配に対して強い影響があるのか?(10歳くらいで発達しているもの?)。その点踏まえると,児童・青年期の過剰な心配に対してはコントロール感がターゲットとして有効であるかもしれない。

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