2011年4月27日水曜日

攻撃性に対するマインドフルネスの影響

Could Mindfulness Decrease Anger, Hostility,and Aggression by Decreasing Rumination?
Borders, A ., Earleywine, A., & Jajodia, A. (2010).
Aggressive Behavior, 36, 28-44.

研究1:
【目的】
マインドフルネスは攻撃性の諸側面(敵意・怒り情動・言語的攻撃・身体的攻撃)に直接影響を与えるのか,反芻を下げることで攻撃性に影響を与えているのか。

【方法】
調査対象者
-大学生464名(平均年齢=19.7歳,うち2/3は女性)
調査材料
①MAAS:マインドフルネス("今・ここで"の体験への気づきと注意)
②RRQ:反芻
③AQ:身体的攻撃・言語的攻撃・敵意・怒り情動

【結果】

モデル①マインドフル→攻撃性 (χ2(289)=610.19, p<.001, RMSEA=.049, CFI=.91)
モデル②マインドフル→反芻→攻撃性 (χ 2(650)= 1388.559, p<.001, RMSEA=.049, CFI=.89)

→適合度的には大差なし

パス係数:マインドフルから反芻への直接パスと攻撃性へのパス有意
-マインドフルネス→反芻 (β=.-46, p<.001)
-マインドフルネス→身体的攻撃 (β=.-.14, p<.05)
-マインドフルネス→言語的攻撃 (β=-.22, p<.001)
-マインドフルネス→敵意 (β=-.38, p<.001)
-マインドフルネス→怒り情動 (β=-.37, p<.001)

反芻から攻撃性へのパスは敵意と怒り情動のみ有意
-反芻→敵意 (β=.48, p<.001)
-反芻→怒り情動 (β=.14, p<.05)

反芻をモデルに投入した場合,敵意のパス係数のみ大きく減少
-マインドフルネス→身体的攻撃 (β=.-.13, p<.05)
-マインドフルネス→言語的攻撃 (β=-.21 p<.01)
-マインドフルネス→敵意 (β=-.16, p<.01)
-マインドフルネス→怒り情動 (β=-.31, p<.001)

→反芻は,マインドフルネスと敵意の関係を部分媒介

敵意と怒りに対してのみ,反芻を介したマインドフルネスの間接効果有意
(敵意:β=-.22, 95%CI=-.91~-.38; 怒り情動:β=-.06, 95%CI=-.22~-.01)


研究2:対象者を一般成人に変えて調査

調査協力者
211名 (平均年齢=31.8, SD=118, うち60%が女性)

モデル①マインドフル→攻撃性 (χ2(289)=610.19, p<.001, RMSEA=.049, CFI=.91)
モデル②マインドフル→反芻→攻撃性 (χ 2(650)= 1388.559, p<.001, RMSEA=.049, CFI=.89)

【結果】

モデル①マインドフル→攻撃性 (χ2(288)=468.88, p<.001, RMSEA=.060, CFI=.89)
モデル②マインドフル→反芻→攻撃性 (χ 2(649)= 1047.85, p<.001, RMSEA=.058, CFI=.88)
→適合度的には大差なし

パス係数:マインドフルから反芻への直接パスと攻撃性へのパス有意
-マインドフルネス→反芻 (β=.-46, p<.001)
-マインドフルネス→身体的攻撃 (β=.-.21, p<.05)
-マインドフルネス→言語的攻撃 (β=-.24, p<.01)
-マインドフルネス→敵意 (β=-.41, p<.001)
-マインドフルネス→怒り情動 (β=-.23, p<.01)

反芻から攻撃性へのパスは身体的攻撃以外有意
-反芻→言語的攻撃 (β=.33, p<.01)
-反芻→敵意 (β=.54, p<.001)
-反芻→怒り情動 (β=.41, p<.05)

反芻をモデルに投入した場合,身体的攻撃以外のパス係数が大きく減少
-マインドフルネス→身体的攻撃 (β=.-.19, p=n.s.)
-マインドフルネス→言語的攻撃 (β=-.08 p=n.s.)
-マインドフルネス→敵意 (β=-.16, p=n.s.)
-マインドフルネス→怒り情動 (β=-.03, p=n.s.)

→反芻は,マインドフルネスと言語的攻撃・敵意・怒り情動の関係を部分媒介

身体的攻撃・敵意・怒りに対して,反芻を介したマインドフルネスの間接効果有意
(身体的攻撃:β=-.15, 95%CI=-.51~-.08; 敵意:β=-.25, 95%CI=-1.13~-.57; 怒り情動:β=-.19, 95%CI=-.67~-.11)


※概して,マインドフルネスは認知・情動的側面に影響があるが,攻撃行動への影響は弱い。攻撃行動へは,他の要因を介して間接的に影響を与えているかも?(情動制御など)



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