2011年4月10日日曜日

ギャンブル行動とネガティブな気分に影響を与える変数の検討

Direct and indirect influences of fate control belief, gambling expectancy bias, and self-efficacy on problem gambling and negative mood among Chinese college students: A multiple mediation analysis.
Tang, S, C., & Wu, S. M. A.
Journal of Gambling Studies, 26, 533-543.

【目的】
ギャンブル関連問題(ギャンブルへのとらわれ,負けを取り戻すための方法としてギャンブルをする,家族にウソをついてギャンブルをするなど)やネガティブな気分に与えるfate control(運命コントロール)の影響を,ギャンブル期待やエフィカシーがどのように媒介しているのかを検討。

【参加者】
773名(男性390名,女性383名)の学生が参加。参加者は,中学以降に少なくとも1度のギャンブル経験あり。平均年齢は20歳で,70%が麻雀,48%がルーレットやポーカー,32%がスロットマシーン,24%がサッカーゲームへの賭け,11%が競馬を行っていた。

【測定指標】
①South Oaks Gambling Screen:病的賭博のスクリーニングとして使用されることが多いが,今回はギャンブル関連問題を測定する指標として使用。
②Depression Anxiety Stress Scale:ネガティブな気分を測定。
③The modified 10-item Self-Efficacy Scale:さまざまなギャンブルする状況でギャンブルを行わいない能力,また関連する障害に対処できる能力を測定。
④Gambling Related Cognitions Scale:ギャンブルに関する誤った考え方を測定。その内,ギャンブル期待因子を使用。日本語版は,横光他(投稿準備中)を参照。
⑤Fate Control subscale of the Social Anxiety Survey(Leung & Bond, 2004):「日常生活の出来事は前もってきめられている」,「運命づけられた結果に影響を与える方法がある」という信念を測定。

【結果】
媒介分析のブートストラップ法を実施。
①ギャンブル関連問題に関して
fate controlのギャンブル関連問題へのtotal effectは有意であったが(β=.18, p<.05),2つの媒介変数を統制したdirect effectは有意でなかった。ギャンブル期待とエフィカシーは,有意な媒介変数であり,ギャンブル期待を媒介した時のindirect effectはB=.17(95%Cl=.12-.24)で,エフィカシーを媒介した時のindirect effectはB=.05(95%Cl=.01-.10)であった。
②ネガティブな気分に関して
fate control のネガティブ気分へのtotal effectは有意で(β=.09, p<.05),2つの媒介変数を統制したdirect effectも有意であった(β=.07, p<.05)。ギャンブル期待を媒介した時のindirect effectのみ有意であった(B=.01, 95%Cl=.01-.03)。

運命に対してコントロール感を抱く大学生ギャンブラーは,ギャンブルはポジティブな結果をもたらし,様々な状況でギャンブルをやらないでいる自信がないという考えを抱きやすい。加えて,特に,ギャンブル期待はエフィカシーと比較して,重要な媒介要因である,つまり,ギャンブルに伴う結果がポジティブであると考えを抱く場合,ギャンブルに関連する問題を起こしたり,ネガティブな気分を呈しやすいことが示唆された。

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