Salters-Pedneault, K., Suvak, M., Roemer, L. (2008)
Behavior therapy, 39, 251-261.
【目的】
心配性傾向と実験的に誘導された心配が弁別学習課題への反応に与える影響を検討
【実験参加者】
-60名の成人 (平均年齢=22.92,SD=7.54,年齢範囲=18-66)
-PSWQ (心配性傾向を測定)の得点に基づき群分け
→60以上=高心配性群 (30名),44以下=低心配群 (30名)
(※SIL-V(言語機能検査)16点以下の者は事前に対象者から除外)
【測定指標】
①PSWQ:特性的心配
②SLI-V:言語性知能
③WCST:全般的な実行機能
④SUDS:主観的な不安
⑤弁別学習
スケジュール弁別学習 (Hayes et al., 1986; Rosenfarb et al., 1992)
現在の随伴性に対する過敏性と随伴性の変化への適応を測定
※課題の概要
①5×5のます目が書かれたスクリーンの左上に○がある
②参加者はボタンを使って○を上下左右に移動させる,
③右下のますに持ってくると得点ゲット。
画面の右下のライトがついた時は,低反応率分化強化スケジュール(DRL),
(DRL1=最後の反応から1秒後の反応に強化子が随伴, DRL3=最後の反応の3秒後の反応に強化子随伴)
左下のライトがついた時は,定比率スケジュール (FR)。
(FR1=1回反応した後に強化子随伴,FR3=3回反応した後に強化子随伴)
今回は,○の移動がボタン押し行動の強化子
スケジュールは2分ごとに切り替え。
DRL1,FR1を15試行ずつ試行
↓
休憩
↓
心配増大orリラクセーション
↓
DRL1,FR1を5試行ずつ:随伴性に対する過敏性測定 (trial1)
↓
DRL3,FR3にスケジュール変更し10試行ずつ:新たな随伴性への適応を測定 (trial2)
ライトの位置がDRL1,FR1の時と逆に変更
スケジュール変更前後で各々以下の値を算出
FRの反応数÷(FRの反応数+DRLの反応数)
※FRで早く,DRLで遅く反応すると最も得点が高くなる→その時の随伴性に対するセンシティビティーが高い)
【手続き】
SUDの測定(pre)
↓
心配・リラクセーション
↓
SUDの測定(time1)
↓
心配・リラクセーション
↓
SUDの測定 (time2)
↓
弁別学習課題
↓
SUDの測定(post)
【結 果】
※解析方法:マルチレベル回帰分析
レベル1:なし
レベル2:群と条件と時期の主効果と2次の交互作用
レベル3:3次の交互作用
レベル1から2,2から3の尤離度 (deviance)の変化量 (Δdev)が有意かどうか
変化が有意なレベルについて,回帰係数を算出。効果サイズと偏回帰係数を算出。
SUD得点
→2次の交互作用モデルが有意 (dev=6.38, df=3, p <.o1)
→条件と時期の交互作用が有意 (β=-.61, t=-2.24, Pr=.28, d=.59)
→1回目の実験誘導で,心配条件群はSUDが増大,リラクセーション群は低下。
※操作チェックOK
WCSTの全エラー数
→群・条件の主効果と両者の交互作用は有意じゃなかった。
随伴性への過敏性
-2次の交互作用モデルが有意 (Δdev=7.36, df=3, p<.01)。
-群と試行の交互作用が有意 (β=.01, t=2.43, Pr=.31, d=0.64)。
-新たな随伴性への適応に関しては有意な予測なし
※状態的な心配によって随伴性に対する過敏性は低くなるが新たな随伴性への適応には影響を与えない。
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