Do extreme beliefs about internal states predict mood swings in an analogue sample ?
Dodd, A. L., Mansell, W., Bentall, R. P., & Tai, S.
Cognitive Therapy and Research, 35, 497-504. (2011).
【Keywords】
Cognitive appraisals, Hypomanic personality, Behavioural activation, Hypomania, Depression
【Introduction】
統合的認知モデル(Mansell et al., 2007)によれば,自身の内的状態に対する,多数の過剰で個人的な信念が,mood swingsとbipolar disorderの発症・維持に重要な役割を果たしている。
こうした信念は,Hypomanic Attitudes & Positive Predictions Inventory(HAPPI; Mansell, 2006)によって評価される。
【Purpose】
本研究の目的は,HAPPI(双極性障害の発症・維持に関わる信念)と内的状態(双極性障害の症状を反映する)との関連について,前方視的に検討することであった。
【Method】
1. 対象者:
183名の大学生
2. 指標:
(1)Baseline
①Hypomanic Attitudes & Positive Predictions Inventory(HAPPI; Mansell, 2006)
②Hypomanic Personality Scale(HYP; Eckblad & Chapman, 1986)
③Behavioural Inhibition and Behavioural Activation Scales(BIS/BAS; Carver & White, 1994)
(2)Mood and Behaviour Diary
④Internal State Scale(ISS; Bauer et al., 1991)
⑤Behaviours Checklist(BC; unpublished pilot set of 41 items)
―上昇行動,ノーマライジング行動
3. 手続き:
(1)指標①HAPPI,②HYP,③BIS/BASに回答
↓
(2)その後,連続4日間の15:00,22:00に④ISS,⑤BCに回答
【Results】
1. 相関分析:
HAPPIとISSの下位尺度との間には,有意な相関が見られた。
―ISS活性(r =.60***),ISS葛藤(r =.59***),ISS抑うつ(r =.55***),ISSウェルビーイング活性(r =-.20**)
HAPPIとbehaviorとの間にも,有意な相関が見られた。
―上昇行動(r =.48***),ノーマライジング行動(r =.21**)
2. 階層的重回帰分析:
1st step:年齢,性別
2nd step:Time1のISS得点
3rd step:HYP,BIS/BAS
4th step:HAPPI
(1)ISS活性
HAPPIの増分は有意であり(⊿.04**),HAPPIが最も強い予測力を有し(β=.30***),次いでTime1のISS活性(β =.25**)であった。さらに,HYP(β =.24**)も有意な予測要因であった。
(2)ISS葛藤
HAPPIの増分は有意であり(⊿.03**),全変数を投入した際の最も強い予測変数は,Time1のISS葛藤(β =.40***)であった。次いでHAPPI(β =.25***)の予測力が強かった。
(3)ISS抑うつ
HAPPIの増分は有意であり(⊿.02**),全変数を投入した際,Time1のISS抑うつ(β =.39***),BIS(β =.13*),HAPPI(β =.18*)は,ISS抑うつに特異的な正の影響を及ぼしていた。BASの報酬反応性(β =-.17*)は,負の予測要因であった。
(4)ISSウェルビーイング
HAPPIの増分は有意ではなかった(⊿.00 n.s.)。最も強い予測要因は,Time1のISSウェルビーイング(β =.64**)であった。Time1のISS活性(β =-.28**)と年齢(β =-.14*)も共に有意で,負の影響が認められた。
(5)上昇行動
HAPPIの増分は有意であり(⊿.02**),最も強い予測要因は,HYP(β =.25*)であった。次いで,Time1のISS活性(β =.23*)であり,次にHAPPI(β =.21*),年齢(β =-.16*),性別(β =-.17*)であった。年齢,性別を除いて全て正の影響が認められ,男性は女性よりも有意に上昇行動が認められた。
(6)ノーマライジング行動
HAPPIの増分は有意ではなかった(⊿.00)。Time1のISS活性(β =.25*)とBASの報酬反応性(β =.20*)に,共に有意な正の影響を及ぼしていた。
【Discussion】
・アナログ双極性障害傾向について,認知(HAPPI)が,気分(ISS)や行動(BC)に有意な影響を及ぼしていた。
・双極性障害や気分の揺れを説明する統合的認知モデル(Mansell et al., 2007)を間接的に支持する結果である。
※1:現代の気分障害の診断・治療の問題点の一つは,双極性成分の検出,双極スペクトラムを含めた双極性障害の適切な診断である。本邦でも今後,双極性障害の「認知モデル」が注目されるだろう。
※2:投稿が遅くなり申し訳ありません。これから少しずつアップしていきます。管理者の皆様,閲覧されている皆様,どうぞよろしくお願い致します。